爬虫類の中でも亀は甲羅を背負い、その中に手足を引っ込めるユーモラスな姿が特徴ですね。
種類によっては首の引っ込め方が異なったり、引っ込めないものもいたりします。
では、どんな時に、どんな状態で引っ込めているのでしょうか。
引っ込めるしくみ
亀は首の引っ込め方で大きく二つのグループに分けられます。
首を真っすぐに引っ込めて甲羅の中では縦にS字型になっているグループが潜頸亜目(せんけいあもく)、首を横に折り曲げるようにして引っ込めるのが曲頸亜目(きょくけいあもく)と呼ばれています。
一部の種類以外が持っている甲羅は背中側が背甲(はいこう)、お腹側が腹甲(ふっこう)と呼びます。
手足と尻尾は折りたたむようにして引っ込めます。
背甲の内側に背骨と肋骨がくっつくようになっているので甲羅の中はドーム状の空間が広がり、そこに内臓が詰まっています。
皮膚とも繋がっているため、着脱はできません。
硬くて邪魔になるものがないので首と手足を引っ込めることができるのです。
中には甲羅の一部に蝶つがいを持っていて動かせられる種類もいます。
セオレガメの仲間は背甲に、ハコガメの仲間は腹甲に蝶つがいがあり、首と手足を甲羅の中に完全に収納して閉じることができます。
引っ込める時って?
身の危険を感じた時や、ビックリした時に引っ込めます。
眠るときに引っ込めるのもいますが、引っ込めずにダラリと伸ばしたまま眠るものもいますし、冬眠する時に引っ込めるものもいます。
また、元気かどうかの見分けにもなります。
持ち上げた時に引っ込めても、すぐにジタバタ動いていたら元気な証拠です。
すぐに動かない時は、そっと置いて観察してみましょう。
少々時間がかかるかもしれませんが、しばらく経って動き出せば慎重な性格なようなので問題ありません。
引っ込めた状態の時に手足を引っ張ってみて強い抵抗があれば元気で、抵抗が弱い時は体調不良の可能性があります。
原因がわからなければ獣医師に相談しましょう。
冬眠でもなく、特に何もなくても引っ込めたまま動かない時は病気の可能性が高いです。
すぐに獣医師に診てもらいましょう。
どこを触ってもピクリとも動かない時は、残念ですが亡くなっている可能性があります。
引っ込めない時は?
餌のやりすぎで肥満になり、引っ込めることができなくなることがあります。
運動量を増やす、餌の量を減らす、野菜などの低カロリーなものにする、ダイエット効果のある餌にするなどの対処が必要になります。
甲羅の損傷、手足に外傷や骨折などがあると引っ込めない場合があります。
獣医師に相談するか、適切な治療をすれば問題ありません。
成長前の子ガメの時にカルシウム、ビタミンDの栄養や紫外線が不足すると甲羅が硬くならず、変形したまま成長することがあります。
そうなると引っ込められない場合も出て来ます。
成長期に太陽光、または紫外線を照射するランプの光を浴びせさせるのと、ビタミンDが配合されたカルシウム剤などの適切な餌を与えましょう。
まとめ
見れば見るほど不思議な体のしくみをしていますね。
彼らの甲羅には約2億年の歴史が詰まっていて、地球の大異変を乗り越えてきたと考えれば、生き延びるに適した形なのでしょう。
移動力は制限されてしまいますが、その代わりの防御力なのですね。
こうやって過去に思いを馳せながら甲羅に引っ込めた姿を観察すると、違った見方ができるかもしれません。
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